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言語形態上の分類では、中国語はチベット語やビルマ語やタイ語などとともに孤立語に属する。孤立語(isolatinglanguage)とは、単語に語形変化がなく、文法的関係は主として語順(語の並べ方)によって表わされる言語であるが、中国語は単語に格変化がまったくなく、その文法的関係は、前置詞など虚詞(機能語;function word)の力を借りる部分もあるが、主として語順に頼っている。
これに対して、日本語はトルコ語やモンゴル語や朝鮮語などとともに膠着語に属する。膠着語(agglutinating language)とは語尾変化があまりなく、付属語が発達していて、これを接続して文法的関係を表わす言語であるが、日本語の名詞には「てにをは」といわれている格助詞が発達していて、これを名詞などの自立語のうしろにくっつけて、自立語同士の文法的関係を表わしている。たとえば、「船」という名詞が、文の中ではこんなに多くの形に変化して文の部分になるのである。
○三本マストの船が きた。
○わたしたちは海岸へ船を はこんだ。
○わたしたちは船に のった。
○はやく船へちかづこうとけんめいに およいだ。
○かれらはちいさい船で太平洋を わたった。
○とのさまの船がこやしをはこぶ船と ぶつかった。
○とのさまのけらいが船からおりて きた。
○あそこの船までなんキロ あるか。
○あの船のなまえはなんと いうのか。
膠着語という名称は、格変化が「ニカワ(膠)のようにくっつく」というところからきている。もちろん、日本語にも動詞や形容詞などに語尾の変化(活用)があるので、屈折語(inflectional language)的な部分もあるが、屈折語に属する言語に比べると、語尾変化が文末述語に集中しているので、基本的には膠着語に属する。
このように、日本語が膠着語であるのに対して中国語が孤立語であるということが両語の文法上における根本的な相違点である。このちがいが両語間の翻訳に当たって最も重要な点であり、日中両語間の翻訳の出発点とも言える。また、このちがいから、さらに両語間の具体的な相違点がいろいろ派生し、それらが翻訳上のポイントとなっている。
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