★ことわざは、日本においても中国においても、人々の間で言い伝えられてきた口語表現で、教訓や風 刺の意味をもっている。中国語のことわざの中には、日本のものとよく似た表現のものから中国独特 の言い回しのものまでいろいろ見ることができる。
★日中ともに表現、意味が同じ、または非常によく似たことわざ。
♦時は金なり。/一寸光明一寸金。(一寸の光陰は同じだけの金に値する)
♦苦しいときの神頼み。/平时不烧香,临时抱佛脚。(ふだんは焼香もしないが、いざというときになっ て仏の足にしがみつく)
♦傍目(おかめ)八目。/当局者迷,旁观者清。(他人の囲碁をそばで見ていると、実際に対局している ときよりよく手が読める)
♦憎まれっ子世にはばかる。/好人不长寿,祸害一千年。(いい人は短命で、悪人は長生きする)
♦論より証拠。/事实胜于雄辩。(事実は雄弁に勝る)
♦地獄のさたも金しだい。/有钱能使鬼推磨。(金さえあれば、鬼にもひきうすを回させることができる)
★日中で表現や比ゆなどの言い回しは異なるが、基本的意味は同じであることわざ。
♦あばたもえくぼ。/情人眼里出西施。(恋人の目には西施(春秋時代の越の美女)に見える)
♦うわさをすれば影がさす。/说曹操,曹操就到。(曹操のことを話していると曹操が現れる)
♦毒を食らわば皿まで。/ー不做,ニ不休。(やりだしたからにはとことんやる)
♦ない袖(そで)は振れぬ。/巧妇难为无米之炊。(賢い嫁でも米がなくてはご飯は炊けない)
♦真綿で首をしめる。/软刀子杀人。(切れ味の悪い刀で殺す)
♦亀(かめ)の甲より年の功。/姜还是老的辣。(ショウガは古いものほど辛い)
★中国から伝わってきたことわざ。
♦出藍(しゆつらん)の誉れ。/青出于蓝而胜于藍。(青は藍(あい)よりつくられるが藍より青い)
♦雨垂れ石をうがつ。/滴水穿石,不是一日之功。(水が滴り落ちて石にも穴をあけるのは、けっして一 日の功ではない)
♦井の中の蛙(かわず)大海を知らず。/井底之蛙不知大海。(井戸の底にいるカエルは大きな海を知ら ない)
♦良薬ロに苦し。/良药苦ロ利子病。(よい薬は苦いが病気によくきく)
♦百間は一見に如(し)かず。/百闻不如ー见。(100回聞くより一度自分の目で見るほうが勝る)
♦悪事千里を走る。/好事不出门,坏事传千里。(よいことは伝わっていかないが、悪いことは千里をも 伝わっていく)
♦好事魔多し。/好人多难,好事多磨。(よい人には難儀なことが多く、よいことには波乱が多い)
♦病はロより入り、わざわいはロより出ず。/病从ロ入,祸从ロ出。(病気はロから入り、わざわいはロ から出る)
♦虎穴に入らずんば虎子を得ず。/不入虎穴,焉得虎子。(トラの住んでいる穴に入らなければトラの子 は得られない)
♦歳(とし)には勝てない。/岁月不饶人。(歳月は人を大目に見ない)