中国語では「動作+その結果」という2段構えで事態を表すことが多い。たとえば“听懂”(閔いてわかった)のように。ところが日本語では単に「わかった」といい、動詞は言わず、結果のほうのみ言及することが多い。これが[十五]「中国語 動詞があってこその補語」である。しかし、この逆の現象も見 られる。すなわち、日本語では補語のほうが省かれるケースで、たとえば中国語の“记住”(記憶して定着した)は日本語では単に「記憶した」といい、補語部分の“住”には言及しない。
1 「この詩は覚えましたか」は“这首诗你记住了吗? ”のように動詞“记”の後ろに“住”が必要である。日本語では単に「もうレポートを書いた」というところを中国語では“我已经写好了报告。”という。 やはり“好”が必要である。このように完了や達成を表す結果補語は日本語では言及されないことが多 いが、中国語では必要なので注意したい。
♦ドアに鍵をかけて。
你把门锁上。
♦機械はもう運びましたか。
机器已经搬完了吗?
ただし、“看见”“失去”など、語のつくりは「動詞+結果補語」でも辞書にも一般に1語として載っているものにはルール番号をつけていない。
2 方向補語についても同様な現象がある。「彼は荷物を置いた」は中国語では“他把行李放下来了。”という。中国語では動詞“放”の後ろに方向補語“下来”がついている。「病人はいまでは立てるように なった」も中国語では“病人會謝起来了。”のように、動詞“站”のあとに“起来”をつける。モノや人が動作の結果、どの方向に移動したのかを明示するのである。
♦本をまたがないでください。
请别从书上面跨过去。
♦よくかまずに食べるとおなかをこわしますよ。
不好好嚼就吃下去会坏肚子的。
★用例集
◊林くんに会ったらよろしく。
见到小林替我问个好。
◊バケツに水をあける。
把水倒进水捅里。
◊どうぞ座布団をお当てください。
请垫上垫子坐吧。