単語の分類である「品詞」と、「文の成分」の呼び名である「述語」や「補語」との関係がわかりにくいかもしれません。建物でたとえれば、「材木」という材料が、家の成分(部分)としては「柱」になったり、「床板」になったりするようなものです。また逆に、「床」という成分は、場合によって「材木」だったり「タイル」という材料だったりするわけです。文の場合は、「補語」や「述語」が「成分」の呼び名で、それを形作る材料が「名詞」や「動詞」という「品詞」です。例を下にあげます。
私の 辞書は ここに あります。
名詞+助詞 名詞+助詞 名詞+助詞 動詞+接辞 [品詞]
修飾語 補語 補語 述語 [文の成分]
(「ます」ところの「接辞」については「補説§0-5」を見てください。)
[修飾]
「修飾」というのは、ある言葉が他の言葉をくわしく説明したり、限定したりすることを言います。例えば、次の例では「その」が「火事」を、「やって来た」が「消防車」を、「すぐに」が「消し止められた」を、それぞれ修飾しています。そして、「修飾語」という文の成分になっています。
例2 その火事は、やって来た消防車によってすぐに消し止められた。
修飾についてのくわしい話は「10.修飾」でします。
[基本形]
それから、「基本形」という用語について。これは、動詞や形容詞のように文の中での使われ方によって形が変化する言葉の、他の形の用法と対立する、最も機能の多い形につけられた名前です。動詞や形容詞の形の変化と(これを「活用」と呼びます)その使われ方については、「21.活用・活用形」で述べます。動詞とイ形容詞の基本形は、辞書に使われているので「辞書形」と呼ばれることも多いです。ただし、ナ形容詞だけは基本形から「だ」をとった形が辞書に載せられています。
[句・節]
次に、文の分析の単位についての用語を二つ。
「句」とはいくつかの単語がまとまってある品詞と同じような働きをするものに使われます。名詞句・副詞句の例を下にあげます。
本 名詞
私の本 名詞+助詞+名詞 名詞句
ゆっくり 副詞
とてもゆっくり 副詞+副詞 副詞句
「節」は、「補語+(修飾語)+述語」のまとまり、つまり文に相当するようなまとまりが文の一部となったものを呼びます。くわしくは「45.複文について」以下を見てください。
[分析の対象]
なお、分析の対象とするのは、話し言葉(ただし、比較的整った形の、つまり初中級の日本語教科書の会話のような)、及び話し言葉に近い書き言葉(初中級の日本語教科書の読解のための文のような)とします。本当の、録音された会話や、複雑な、かなり凝った書き言葉の文章などを分析する場合の問題は、この『概説』が扱える範囲を超えています。
また、「話し手」という言葉で、文章の「書き手」も含めて言うことにします。また、「聞き手」という言葉で「読み手」も含めて言います。
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